我が子への眼差し
腹立ちて
炭撒きちらす三つの子を
為すに任せて鶯をきく
与謝野晶子
「癇癪を起こして部屋を汚す3歳児を叱るでもない。後始末をするでもない。母は悠然とウグイスの声を聴いている」
私が3人の子育てに疲れ切っている時、実家の母がこの短歌を教えてくれました。その時は4歳になっても一つも言うことを聞いてくれない長男を怒ってばかりで、私も辛く、長男も辛いという負のループにはまり込んでいた時期でした。
初めは与謝野晶子の短歌を、そんな余裕ないわ〜と釈然としない気持ちでいたけれど、何度もその歌を繰り返し詠んでいたら情景が浮かび上がり何だか可笑しくなってきました。
きっと与謝野晶子も我が子の仕業に初めは「ふーっ、やれやれ」とため息をついただろうし、髪を振り乱して叱る事もあっただろう。
けれど、たまには家がひどく散らかろうが、家事が疎かであってもいいじゃないかと。
子供にとっての悪い事ってなんなんだろうか?私がこんな事をしたらダメだよ!と叱る理由の殆どは後始末が大変とか、自分が困るとか実はそんな事だと気づく。
与謝野晶子の歌のように毎日とはいかないけれど、
子供達の行動をよくよく観察するようになってからは「わはは、また派手にやりましたね〜!すごい!」と笑いの方向へ。ここ最近はこれで乗り切っています。
反戦歌とか性愛のイメージが強かった与謝野晶子も一人の母親だったんだなあ。我が子への眼差しは昔も今も変わらぬ愛情に満ちています。
我が子への眼差しと言えば、この写真集。
この本を買い求めた日、本屋でページを巡りながら涙止まらなかったのを思い出します。
「手から手へ」詩:池井晶樹 写真:植田正治
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